W3Cの役割とウェブデザイン技能検定の試験対策

W3Cの役割とウェブデザイン技能検定の試験対策

今回は平成29年度 第3回のウェブデザイン技能検定3級から、W3Cの勧告についての問題を取り上げる。3級受験者を対象にW3Cとはどのような組織なのか、その役割と、「勧告」の意味について解説する。また、数年後の試験にも対応できるように補足説明も加えておこう。

第 1問
2017年現在、HTML5.1はW3C勧告として公開されている。

※ 平成29年度 第3回のウェブデザイン技能検定3級 学科試験より引用

W3Cはウェブの立法府

まずは、W3Cがどのような組織なのか話していこう。W3Cは、World Wide Web Consortiumの頭文字で「ダブリュースリーシー」と読む。World Wide Webはダブリューが3つ続くので「W3」という綴りになっている。Consortiumは協会という意味だ。

W3Cの役割は、私たちが扱うHTMLやCSSなどの仕様を策定している組織で、このW3Cが決めた内容に沿って、世界中のウェブクリエイターはウェブサイトを制作し、また、ウェブブラウザが作製されている。例えるなら、ウェブの立法府と言えるだろう。

IEとNNのブラウザ戦争

余談となるが、昔話をさせてもらおう。私がウェブサイト制作を学び始めた頃、ブラウザと言えば、Internet Explorer(IE)とNetscape Navigator(NN)の2つがシェア争いをしていた。当時はFirefoxもChromeもSafariも無く、2強の争いは後にブラウザ戦争とも呼ばれるようになる。

このシェア争いの問題点は差別化にあった。双方とも優位に立とうと差別化(独自仕様)に走ってしまい、片方のブラウザでしか表現できないHTMLのタグ(要素)や、スクリプトの文法が次々に生まれてしまった。その結果として、ウェブサイトの制作者も、そして閲覧者さえも混乱させることとなったのだ。

「さすがにこれはまずい」ということになり、W3Cという組織が生まれ、標準化が行われるようになった。ウェブサイトの制作者やブラウザの作製者に向けて「最低限、これだけは守りましょう」というルール作りだ。そのような経緯があり、どのブラウザで見ても意図した内容が正しく伝わるような環境が整備されるようになったのだ。

W3Cはウェブの法律改正

日本に限らず法律は日々、改正されているが、これはウェブにも当てはまる。時代の流れと共に、通信速度や表示環境が変わってくるため、新しい制度が必要になってくるのだ。

例えば、光回線の普及により通信速度が上がった。それまでに、表示に時間がかかるために避けられていた大きめの画像や動画を背景に指定することができるようになった。また、スマートフォンの誕生により、縦長で小さなディスプレイが使われるようになった。

これらの変化に対応していくには、それまでのルールに固執することなく、新しいルール作りを進めるべきであろう。W3Cの役割は、単なる標準化のみならず、新しい環境への対応も期待されている。

この講座の受講者は、HTMLならバージョン5を、CSSならバージョン3を学んでいることだろう。これらのバージョンはそういった環境変化への対応によって必然的に生まれたものだ。

決定までには準備期間が用意されている

消費税率アップをはじめ、法律を変える場合、決まった瞬間に適用されることはない。もちろん、ウェブでも同じことが言える。W3Cは、最初にたたき台となる「草案」(「作業草案」と訳されることもある)を出す。そして、その草案に対して意見を募り、「勧告候補」を作成するのだ。この段階で、方向性を固めておく。

そして、「勧告案」が作られる。ここまでくると「これでOKですよね?」という段階となる。その結果、最終的に「勧告」が行われ、我々の守るべきルールが決定するのだ。この勧告は「W3C勧告」とも呼ばれ、今回の出題文に書かれているキーワードとなる。

ここまでの草案から勧告までのキーワードを整理しておこう。

日本表記	英語表記	内容
作業草案	Working Draft	最初のたたき台
勧告候補	Candidate Recommendation	たたき台に対する修正
勧告案	Proposed Recommendation	これでOKですよね?の確認
W3C勧告	W3C Recommendation	最終的なルール

表には英語表記を加えてあるが、3級受験には不要だ。しかし、2級や1級の受験には覚えておきたいので加えておいた。実際の制作現場では、新しい仕様が「今、どの段階なのか」を意識しておく必要があるためだ。

あなたが、HHMLの次期バージョンを策定中だというニュースを耳にしたとしよう。最新のニュースに「作業草案」と書かれている保証はない。「ワーキング・ドラフト」と書かれているかもしれないのだ。

解答

さて、問題文を見返してみよう。

第 1問
2017年現在、HTML5.1はW3C勧告として公開されている。

※ 平成29年度 第3回のウェブデザイン技能検定3級 学科試験より引用

問題には「W3C勧告」とある。つまり、平成29年当時にHTMLのバージョン5.1は、最終的な確定されたルールが出ているのかどうかを聞いているのだ。HTMLのバージョン5.1が勧告(W3C Recommendation)されたのは2016年の11月。

この第1問は正誤問題なので、この問いに対する回答は「正しい」が正解だ。W3Cの役割や、草案~勧告までの流れを納得してもらえただろうか。

補足

現在(2019年2月現在では)、HTML5.2が2017年の12月に勧告(W3C Recommendation)されており、HTML5.3が作業草案(Working Draft)の段階だ。出題されるとすると、「2019年現在、HTML5.1はW3C勧告として公開されている。」もしくは「同~HTML5.2~」となるだろう。5.1も5.2も共に勧告済みだ。

ただし、5.3に限っては、まだ草案の段階だから、勧告は数年先になる。「W3C HTML5.3」と検索すればW3Cのサイトが表示されるので、試験前には調べておいて欲しい。英語のサイトだが、ここまで読み進んでくれた受講者なら、タイトルを見ただけでどの段階にあるか理解してもらえるだろう。